2006/02/25

コスタリカの現状



先ず、皆さんがこの記事を読む前に一言。私はコスタリカが好きです。以前住んでいたアメリカ、故郷である日本よりも好きだと思います。地元民も親切な方が多いです。ですが、今日は辛口な記事を書いてみます。

この写真を見て、皆さんはどう思いますか?夕暮れ近くに撮影した牧草地です。

コスタリカはエコツーリズムの先進国として、世界の注目を浴びています。国土の四分の一が保護され、「中米の楽園」、「中米のスイス」等とも呼ばれています。日本では軍隊を持たない国として、知られているかもしれません。

私は野鳥ガイドですから、一般の方よりも自然に触れる機会が多いです。生き物が大好きで、熱帯雨林に入るのが何よりの喜びです。コスタリカに生息する生き物の美しさ、素晴らしさをお伝えするために、ブログを開設しました。

ゲストブックには「自然が豊かな国なのですね」「コスタリカは野性の宝庫なのですね」「コスタリカに住めて羨ましいです」等のコメントを沢山いただきました。実際のコスタリカはどうなのでしょう?

「国土の約四分の一が保護されている」という文章は、かならずどの観光本にも出ています。この文を読むと、いかにも環境保全に力を注いでいる感じがします。


しかし、実際に国立公園として保護されているのは半分ほど、残りは私有の保護区も含まれます。つまり所有者の考え一つで、緑はあっという間に消えてしまいます。 

最近では観光者向けにカジノ、ゴルフ場、リゾートホテル等の施設が増えています。自然の外観を損ねた施設の乱立には、個人的にウンザリします。

エコツーリズムとは「ありのままの自然を通じて、その美しさを再認識してもらう。あるいは大切さを知ってもらう」事ではないのでしょうか?観光のために人の手が多少入るのは、仕方が無いでしょう。しかし、エコツーリズム先進国にカジノ?ゴルフ場?本当に必要なのでしょうか?

有名な野鳥写真家で、モンテベルデ保護区の近くに長年住んでいたフォグデン夫妻に、エクアドルでお会いした事があります。引越した理由は、同保護区の「過度の観光化」に嫌気が差したそうです。

また、有名なエコロッジがカジノに変わり、欧米のバーダーを驚かせた「事件」もありました。保護区内での密猟も、相変わらずの問題です。仕事柄レンジャーの方々と話しますが、現状は酷いものです。実際に密猟者に遭遇しましたし、今後も続く事でしょう。

汚水の垂れ流しも深刻です。ある方の話によると、有名なエコロッジも平気で汚水を流しているそうです。


私が初めてコスタリカに来た頃と比べて、ジャノメドリやメキシコカワガラスの個体数が減っているのも頷けます。川で洗車して、洗剤を平気で流している地元民も大勢いますから・・・・。 

サンホセや周辺の都心部はゴミが散乱しています。地元民は平気で車やバスの窓からゴミを捨てます。ゴミ処理能力が不足しているとはいえ、目を覆いたくなるような汚さです。そのくせ、空港の前だけは絶えず掃除している職員を見かけます。

地元民の多くは自然保護への考えどころか、国立公園にさえ滅多に訪問しません(仕事中にほとんど会いません)。週末はビーチに出掛け、ゴミを撒き散らして帰宅します。自国が自然保護&環境保全を看板にしたエコツーリズム国家だと、認識しているのでしょうか?

先日、クルーズ客船のお客さんを案内しました。ツアー後、港にバスが到着しましたが、砂浜はゴミだらけ。お客さんの「ゴミが酷いわね~」のコメントに何も言えませんでした。

冒頭に戻りますが、牧草地の写真を掲載した理由は、これが現在のコスタリカだからです。小さな緑が国内に点在するのみで、後は牧草地、バナナ、ヤシのプランテーションなどが延々と続いています。


ですからジャガー、バクなどの大型哺乳類はほとんどいません。世界最強の猛禽であるオウギワシも、国内では既に営巣が確認されていません。

これがエコツーリズムのモデル国として、世界の注目を浴びているコスタリカの現状です。他の中南米国は更に悲惨だと思います。去年、エクアドルのアマゾン流域に行き、延々と続く石油パイプに愕然としました。

コスタリカの自然保護政策はウミガメがきっかけでした。当時の大統領がトルトゥゲーロ(現国立公園)に視察に来た際、密猟者によって傷つけられたウミガメに遭遇したそうです。


「自国の自然と生き物を守りたい」という大統領の想いが、現在の国立公園システムに繋がりました。現在のコスタリカを、彼はどのように思っているのでしょうか?

コスタリカに住むまでは、表面上の美化された部分しか見えませんでした。「野性王国コスタリカ」なんて、とんでもありません!わずかに残された緑地で、行き場のない生き物が閉じ込められているだけなのです!

森林伐採、密猟、水質汚濁、ゴミの散乱・・・・問題が山積みです。私も生活のため間接的に「悪い貢献」をしているので、こんなこと書く権利さえないのかもしれません。自然やそこに棲む生き物達との共存は、本当に難しいものです。

いつもコスタリカの「良い部分」しか掲載していないと思いますので、今日は「嫌な部分」を書いてみました。皆さんはどうお考えでしょうか?

三月一日まで不在になります。楽しい週末をお過ごし下さい。


    

コスタリカの野鳥ガイド

在住17年目。プライベートでは、主に野生蘭のデータ収集(保護活動の手伝い)、撮影をしています。

10歳の息子(デビューは5歳)が撮影した野鳥、虫なども掲載しています。

12年ほど続けてきたヤフーブログから、引っ越して来ました。

健康上の理由で、以前のように長時間パソコンできなくなりました。ですからコメント欄は、閉じてあります。

リコー社(当時はペンタックス社)のポータル・サイトで執筆したコラム、「PURA VIDA!」のアドレスです。

http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/photo-life/archives/tsuyuki/